2018年4月の障害者雇用促進法の改正以来、発達障害を含む精神障害者が雇用義務の対象になりました。
さらに障害者雇用の法定雇用率も民間企業の場合で2.0%から2.2%と、発達障害を持つ人の雇用枠は年々増え続けているというのが現状です。
発達障害のある多くの人は、自身の発達障害の特性により、「向いている仕事」「向かない仕事」というものが一般の人よりもはっきりと出やすい傾向があります。
発達障害の特徴がマイナスに出てしまう「向いていない仕事」についている場合、長期就労が難しいだけではなく、仕事への不安感やストレスから、うつ病などの二次障害を引き起こしてしまうことも。
しかし後述するように、発達障害者に限らず障害者の就労には「職場定着率」が課題になっています。
転職市場が活発になると同時に、転職を繰りかえすことで現職に落ちつけない人もまた増加しているのです。
この項目ではそうした発達障害者の転職状況を詳しく見ていきましょう。
【転職を繰り返す人はクズ?病気】転職が多いうつや障害も
発達障害者が転職を繰り返すのをやめるのはなぜ?くずとかんじてしまう!特徴は転職癖なの?
発達障害のある方は、自分のしたいことや気持ちを伝えることが苦手な傾向にあるため、就活時の面接などにおいてコミュニケーションに課題を抱える方も少なくありません。
また、思いつきで行動しがちな側面もあるため、計画を立てて段取りを組んで進めるという仕事も、あまり得意ではない傾向にあります。
一方で、得意なことと苦手なことがはっきりしているため、仕事選びにおいてはミスマッチが少ないとも言われています。
【転職繰り返す人病気なの】男女?一般枠から障害者枠へ(ADHDやASD)
発達障害者の方の転職を考える際には、2つの採用枠を知っておく必要があります。
後述する「障害者枠」と比べると、一般的に賃金水準が高く、就職先の選択肢が増えるというメリットがある一方、障害への配慮が受けづらいというデメリットがあります。
メリットとしては障害への配慮が受けやすいため働きやすい点が挙げられますが、一般枠に比べて賃金が低く、業務の選択肢も減ってしまう点がデメリットとなります。
一般枠と障害者枠は、「絶対的にどちらがよい」というものではないのですが、2つの方法があるということを覚えておくと、選択肢を増やすことができます。
【転職を繰り返す人病気】繰り返すまえの雇用状況は(ADHDやASD)
発達障害(など)の就職件数は、10年間で10倍以上にあがり、新規求職申込件数も増えています。
こうした状況を踏まえて、国は2018年4月に障害者雇用促進法の改正を実施、発達障害を含む精神障害者を雇用義務の対象にしました。
法定雇用率
加えてこの改正では、2016年4月には2.0%だった民間企業の法定雇用率が2.2%に、国・地方公共団体では2.3%から2.5%に引き上げられました。
ちなみに、民間企業の法定雇用率は2021年3月までにさらに2.3%へ引きあがることが決定されています。
また、今年2019年6月には、障害のある短時間労働者の雇用を支援する改正法案が衆議院を通過しました。
【転職を繰り返す人病気】転職癖にならずスムーズにするため
発達障害のある方は得意・不得意がはっきりしている傾向があります。
転職を繰り返すことがないようスムーズにするため業務内容や職場環境を検討
そのため自分に合った業務内容や職場環境を検討することが、安心して働くためにも大切です。
就職活動をはじめる前に、まずは発達障害の特性や自分の得意・不得意を理解し、自分の適職は何かをはっきりさせておくことが重要です。
自分の得意なことや苦手なことがイメージしにくい方は、支援機関や就労移行支援事業所などを活用し、あなたのことを客観的に見ることのできる支援者と一緒に取り組むといいでしょう。
【転職を繰り返す人病気】転職を繰りかえさないことが課題(ADHDやASD)
雇用状況がよくなっているとはいえ、発達障害者の転職には「職場定着」という課題が残っています。
就職から1年以内に離職する発達障害者の割合はおよそ30%にのぼります。
この離職率は、年月が経過するにつれて、さらに上がっていくと考えられます。
【転職を繰り返す人病気】転職を繰り返さないため!クズといわれない成功させるコツ
発達障害の人が転職を成功させるコツとは何でしょうか?
転職活動で成果があがるコツを5つ挙げます。
なかには、そのコツを知らなければ仕事探しのスタート地点にも立てないと思われるほどの必須事項もありますので、発達障害でお悩みの方は是非ご参照ください。
発達障害の転職を繰り返さないコツ①:二次障害を治す
転職活動を行う際には、「まずは二次障害があるかどうかを確認し、ある場合は必要な治療を受ける」ことから始めましょう。
二次障害とは、発達障害に伴って引き起こされるうつ病や心的外傷後ストレス障害(PTSD)といった精神障害等を言います。
発達障害を抱えている人は、コミュニケーションや事務処理に難があるため、集団生活に馴染みづらい傾向にあります。
そのため、いじめ被害を受けたり疎外感を感じたりすることが多く、ストレスからうつ病などの精神疾患を抱えやすいのです。
こうした二次障害を抱えた状態で就職活動を行っても、本来の特性が見えづらいばかりか、就業前に体力を使い果たしてしまい、転職を成功させることができません。
まずはしかるべき医療機関にかかり、二次障害の有無を確認し、ある場合には必要な治療を受け、転職活動の開始のタイミングにおいても主治医の意見踏まえた上で、開始の判断をしていくことが望ましいでしょう。
発達障害の転職を繰り返さないコツ②:障害雇用枠
「雇用枠を検討する」です。
雇用枠とは、ひとつには「先述した一般枠と障害者枠のどちらを選ぶか」という点が挙げられます。
雇用枠の検討は、転職を考える上で非常に重要になってきます。
人によっては一般枠で大丈夫だと思って別の企業へ転職しても、無理がたたって二次障害を悪化させてしまったというケースがあるからです。
そのため雇用枠を検討する際には、後述する就労支援機関などの専門家のアドバイスを仰ぎながら、慎重に判断することが望ましいでしょう。
また、いきなりフルタイムの勤務をするより業務量の少ないアルバイトやパート勤務から始めた方がよい場合もあります(労働そのものに慣れる、自分の向き不向きを正規雇用よりも身軽に確認できるなど)。
そういった意味での「雇用枠の検討」も念頭においてみてください。
発達障害の転職を繰り返さないコツ③:合理的配慮
「エントリー候補の、障害への配慮の程度を見極める」です。
仮に障害者枠での転職が実った場合でも、職場によって障害への配慮の程度はまちまちです。
職場定着に向けて手厚いフォローがある職場もあれば、研修が行き届いておらず、働きづらさを感じる職場もあります。
そこで、障害への配慮の程度を見極めるために、エントリー候補の職場について、以下の2点を注意してみてください。
発達障害の転職を繰り返さないコツ④:就労形態
「就労形態をチェックする」というのも、転職を成功させるコツのひとつです。
発達障害のある方は、企業に合わせた働き方よりも、自分のペースで働ける「自由度の高い」就労形態があっています。
企業に合わせた働き方とは、わかりやすく言うと「定時・出勤日や勤務場所が厳密に決まっている」ということであり、日本企業では珍しい形態ではありません。
逆に、自由度の高い就労形態には以下の3つがあります。
- 裁量労働制
- フレックス制
- フリーランス
発達障害の転職を繰り返さないコツ④支援機関と協力する
「支援機関と協力する」というものです。
発達障害を持つ方の転職活動においては、様々な事例に触れてきた支援者の存在が重要になってきます。
就労支援機関では、あなたの発達障害の特性理解だけでなく、転職活動に役立つスキルの習得や、仕事探しのお手伝い、インターンの斡旋など、幅広いサービスを提供しています。
なかでも国の法律に基づいて設置されている就労移行支援事業所では、最低0円から福祉サービスを受けることが可能です。
生活面のサポートだけでなく、メンタル面での面談も受けつけていますので、興味のある方は無料相談をしてみてるとよいでしょう。
まずは自分の特性をしることが大切だと思います。それから自分にあった職業をみつけましょう。
たとえば下記のようなものがあります。
発達障害者が転職を繰り返さないため仕事の探し方は(ADHDやASD)
どうような発達障害のある人も、自らに向いている職業に就くためには、まず自分の発達障害の傾向をしっかり把握することが重要です。
その上でハローワークや転職・就職サイトで仕事を探すこともできますが、それ以外にも障害者雇用専門の転職エージェントを利用して転職・就職先を探すこともできます。
関連記事:【ADHDの合理的配慮わがまま】なの?職場や大学で違い
まとめ:【転職を繰り返す人はクズ?病気】短期転職が多い?ASD!アスペルガー
ここまで、発達障害の特徴と発達障害のある人に向いている仕事・向いていない仕事を解説してきました。
発達障害はいくつかの種類の発達障害の特徴が出ていたり、発達障害の強さの度合いが人により異なったりすることから、仕事を探す場合には自分に出来ること・出来ないことをしっかりと把握しておくことが重要です。
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